島森です。漫画や小説の感想が主です。TBもコメントもご自由にどうぞ。


by nm73tsrm
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いいかげんに、人生を勘定するのは、やめようぜ

7月はファンタジーのアタリ月。嬉しいです〜。
『氷と炎の歌』シリーズもざかざか読んでますが、『剣嵐の大地』編に突入するまでに、『精霊の守り人』を読んでみようと思ったのです。

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*[book]『精霊の守り人』(文庫)
上橋 菜穂子
新潮社
ISBN-13: 978-4101302720

30歳の女用心棒バルサを主人公に、人の世界と精霊の世界を描いたハイファンタジー。
野間児童文芸賞新人賞・産経児童出版文化賞・ニッポン放送賞・路傍の石文学賞を受賞した作品で、『闇の守り人』『夢の守り人』『神の守り人(来訪編)』『神の守り人(帰還編)』と続く「守り人」シリーズの第1弾。


NHKのアニメNHKのアニメも、藤原カムイの漫画化も観ていないのですが、評判が良いのと児童文学好きなので
きっと『十ニ国記』みたいに面白いだろうと、手に取ってみました。

解説は恩田陸氏が書いていて、べた褒めしてますし、
もう一つの解説は神宮輝夫氏で、このファンタジーの位置づけをしてますが、
共に分かりやすい解説で、尻拭いをする必要がない解説…というか面白いものを真っ当に薦めることが出来るということは、本当に気持がいいなと。

私が読む"面白い物語"には、魅力的で爽快な"筋肉バカではない"キャラが必要なのですが、この物語には、ちゃんとバルサがいますし、チャグムも増上慢なさまがないので非常に読みやすいです。(『氷と炎の歌』にはね…)

『十ニ国記』の陽子や尚隆、『デルフィニア戦記』のルウ、『指輪物語』のサムや馳夫さん、『FSS』のアイシャやバルンガみたいに、物語には、力があってまともなキャラがいて、素敵な科白がないと、夢中になれないんです。

更に、この『守り人』シリーズは、文化人類学である筆者による緻密な世界観というのも、宣伝されてますし、アジア的な物語であるというのも、親しみやすい一因とされてますが、『十ニ国記』を読んでるからか、それはさほど思わなかったです。正直、漢字記載の地図はありがたいですが。

バルサの端的な科白、シンプルな心理描写、登場人物の少なさ、そして神宮輝夫氏が書かれてる通り、"迫力があってスピーディ"。

バルサは30歳の女性ということですが、そこらの男よりも行動が格好良いです。みみっちくない。
これ以後は、もういっさいわたしらに義理だてするんじゃないよ。(中略)たとえ、あんたたちが、しゃべってしまったって、大丈夫。逃げきれる自信があるんだよ。

いいかげんに、人生を勘定するのは、やめようぜ、っていわれたよ。不幸がいくら、幸福がいくらあった。あのとき、どえらい借金をおれにしちまった。……そんなふうに考えるのはやめようぜ。金勘定するように、過ぎてきた日々を勘定したらむなしいだけだ。
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by nm73tsrm | 2007-07-14 02:28 | book