島森です。漫画や小説の感想が主です。TBもコメントもご自由にどうぞ。


by nm73tsrm
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醜悪さはキスで誤魔化してしまえ

最近、読書以外のことにも時間を割いているので、UPが捗らないのですが、
読んだ本は積まれていってるので、一気に!
しかし、本を読むという事で、こんなに楽しめる自分ゆえに既婚男性美容師さんに「ユーモアの塊って感じだから、結婚ってイメージじゃないですよね」って言われるのでしょうか。
本ではなく、その著者の皆様が面白過ぎだからいけないんですよー!

*[book]『そんなに読んでどうするの--縦横無尽のブックガイド』豊崎 由美 アスペクト ; ISBN: 4757211961e0038376_10301312.jpg

闘う書評家&小説のメキキスト、トヨザキ社長、初の書評集!
純文学からエンタメ、前衛、ミステリ、SF、ファンタジーなどなど、
1冊まるごと小説愛。怒濤の239作品! 560ページ!!
★某大作家先生が激怒した伝説の辛口書評を特別袋綴じ掲載 !!★


『GINZA』で毎月豊崎社長ベタ褒め本をチェックしています島森です。
豊崎社長に私淑し、最もめっけものだったのはアリステア・マクラウド氏です。残雪と莫言はこれからのお楽しみです。
そして、巻末の袋綴じ!「読者諸君!アホ面こいてベストセラーなんか読んでる場合?」
槍玉に上がった某先生が文藝春秋社に怒鳴り込んだおかげで、当の雑誌は廃刊。筆者は2年も文春から注文をもらえなくなったとのこと。大森望との対談でも色々ネタはあがってますね。

私のスタンスは
「マンガで評判がいいのは読む価値があるが、小説のそれだと、小説を読む習慣がない人が買ったことによる評判が殆どなので、小説のベストセラーは、殆ど手に取る事はない」。
しかしね、愛ルケを食い入るように読んでた方々が、退職して、巷にあふれたら、つまんないものが売れる数年がやってくるのだろうな、と。

*[book]『日本文学ふいんき語り』麻野 一哉 (著), 飯田 和敏 (著), 米光 一成 (著)双葉社 ; ISBN: 4575298611e0038376_10292930.jpg

「新感覚の文藝座談会!」『人間失格』はダメ人間ブログに? 三島由紀夫はたまごっちならぬ三島っちに???文芸プロパーでなく、著名ゲームクリエーターたちが独特の発想と新鮮な感性で読み解く"新感覚書評本"の誕生!本に対する愛情あふれる1冊。

『人間椅子』(江戸川乱歩)は小学校の図書館に常備されているのに、ゲーム化できないというのはおかしくないか?有害図書じゃないのに。(中略)ゲームはバーチャルな体験が出来るメディアだから、身体の障害といった困難を疑似体験することもできる
に、そーだ、そーだ!と思いつつ。
でも乱歩猟奇部門をゲーム化する勇気をソニーに、任天堂に求める!
……ありえない。
に爆笑。
猟奇って付けなきゃ良いんですよ。
どっかの学者がゲーム脳、ゲーム脳と言いますが、乱歩を小学生から読んでる日本人を誇りに思った方がですね…。乱歩ランド建設の話も良かったです。
ダバディーを始めとするフランス人が押し寄せそうですね。私もデートで行きたいです。


山椒魚の原型は「幽閉」で、「山椒魚は悲しんだ」の送り仮名が「さんしょううおはかなんだ」!
私も米光さん同様、こっちが好きです。

太宰のグッド・バイはギャグ。

『痴人の愛』(谷崎潤一郎)についての対談、谷崎はミステリも書いてましたが、緊迫感ひしめく描写というより、乱歩(彼は谷崎のミステリファン)のほのぼの感あふれるものです。そして、谷崎のこの『痴人の愛』もお間抜け感溢れてます。ライバルの男同士が、落語のように悪意を悪意とせず、やりとりしてる感じです。
豊崎社長の『百年の誤読』も面白かったのですが、この『日本文学〜』も悪意→死とするストレートなコミュニケーションではなく、その空気を婉曲に味わって昇華させてしまう術を思い出すのに有効かと。

*[book]『薔薇密室』皆川 博子 講談社 ; ISBN: 4062125641e0038376_10285174.jpg

山間の僧院に住まう、1人の男。繰り返される禁断の実験。
物語が歴史を凌駕する。驚愕の書き下ろし長編小説
ドイツ・ポーランド国境に、人知れず建つ古びた僧院。そこは、咲き乱れる薔薇に閉ざされた狂気の世界だった。やがて外界は第二次大戦の波に呑まれ、僧院は接収されるが
現と夢幻のあわいを貫く物語が、歴史をも従えて迸る。待望の書き下ろし。


私の皆川先生歴は『死の泉』『猫舌男爵』ときて、『薔薇密室』(74歳で、557頁!)です。『死の泉』では、さほど。その幻想力を感じる事はなかったのですが、『猫舌男爵』は短編集なのに、ひとつひとつのモチーフと想像のディティールとエロティシズム…エロスとタナトスにひれ伏しました。
そして、この『薔薇密室』。
私が谷崎好きなのは、老いても枯れず、エレガンスを追求した精神ですが、皆川先生のPouvoir d'illusion、Force physiqueは並ぶ方が居ないのではないでしょうか。

軽めのクリシェばかり発するミステリや小説にうんざりしつつある方にお勧めです。


*[book]『三谷幸喜のありふれた生活 4 冷や汗の向こう側』三谷幸喜 朝日新聞社 ; ISBN: 4022500719 e0038376_1028627.jpg

「結婚指輪を紛失!?」「腰の激痛で脚本降板!?」とハプニング続きの生活を送りつつ、大河ドラマも佳境に入る。「新選組!」の舞台裏、多彩な出演者たちとの交流、そして迎えた最終回の秘話とは?——朝日新聞芸能面の人気連載、ますます好調の第4弾!

このシリーズの最も素敵な点は、三谷さんの知名度が上がったり、叩かれたりしても、エッセイの質もトーンも変化しないところです。
監督をなさっててもTシャツのラフな格好でなく、スーツスタイルでという三谷さんは、コンビニで数回拝見しても、紳士でした。歩き方もきびきびなさってました。
おにぎりと野菜ジュースの組み合わせがお好きな様です。
ふふ、ファンは遠くから見守っていてよ。(こわいっつの)

*[book]『サルバドールの復活 上』ジェレミー ドロンフィールド 東京創元社 ; ISBN: 4488235077

大学時代、ひとつ屋根の下で暮らした四人の女性。そのうちのひとり、リディアの葬儀が、卒業後離ればなれになった彼女たちを再会させる。若く才能あふれるギタリストだった、今は亡きサルバドールと大恋愛の末に結ばれたリディア。その身に何が起きたのか?威厳に満ちたサルバドールの母に招かれ、壮麗な居城へ足を踏み入れたかつての友人たちが遭遇する、いくつもの怪異と謎。

前作『飛蝗の農場』はラスト以外はドキドキして読めたのですが、ラストが、「はぁ?」っちゅーもんでした。

こちらは、色々賞に入ってるので(前作もそうか)、新たに期待して読んだのですが全編はまあまあでした。

*[book]『サルバドールの復活 下』ジェレミー ドロンフィールド

かつての友人リディアの嫁ぎ先である、巨大で不気味なド・ラ・シマルド家の城に逗留中、立て続けに不可解な出来事に襲われるベスとオードリー。今は亡きサルバドールの少年時代、リディアとの蜜月の日々。物語は、城館の内と外、現在と過去を往き来し、意想外の結末へと雪崩れこむ。ついに明かされる、城館に君臨する女主人ジュヌヴィエーヴが固執する“復活”の真意とは—。

ゲームや映画や、マンガや小説に接してきた方なら、タイトルから推測出来るとおもうのです。そして、割と人気があったから「それを超えるカタルシス」を求めちゃうと思うのです。

予想を超えないミステリ、あなたはなんと評しますか。

*[book]『旅行者の朝食』米原 万里 文藝春秋 ; ISBN: 4167671026e0038376_10271592.jpg

「ツバキ姫」との異名をとる著者(水分なしでもパサパサのサンドイッチをあっという間に食べられるという特技のために)が、古今東西、おもにロシアのヘンテコな食べ物について薀蓄を傾けるグルメ・エッセイ集。

この本にですね、ターキッシュディライト、トルコ密飴が載っているのです。「トルコ密飴の判図」です。
たった14頁なのですが、私の中に「ハルヴァ食べてやるわ!」(ハルヴァという名称については本文参照)という決意が芽生えました。

それにしても舌でしか料理は味わえないのに、どうして知らない妙味、食感に憧れてしまうのでしょうか。

ヌガー、トルコ蜜飴、ハルヴァ、求肥、落雁、ポルポロンは血縁関係にあるということも、興味津々です。

「イギリスには三百の宗教と三種類のソースがある
フランスには三つの宗教と三百種類のソースがある」

ラストの「叔父の遺言」、半分から涙無しには読めませんでした。そして、再読してみたのですが、やはり、本の頁に紙魚が泳ぎました。
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by nm73tsrm | 2006-04-06 23:23 | book